一般人にとっては、普段あまり意識せずに見聞きしているかもしれませんが、行政書士にとっては、行政書士試験の出題範囲である基礎法学として必ず学習するのみならず、実務としてもクライアント(以後、「お客様」と記す。)にご説明する際に間違えてはいけない厄介、かつ、重要な法令用語である。日本人ならば、時間的即時性(以後、「緊急度」と記す。)を表現する用語として誰しも理解しているであろう。しかしながら、その緊急度の差異を厳密に理解している人は、ほとんどいないのではないだろうか?正直に言うと、私もその一人である。一方、緊急度の度合いは、なんとなく、「直ちに」>「速やかに」>「遅滞なく」とイメージ的に理解している人は多々いるのではないだろうか? さて、法律の条文を例題として、下記①~④には、どの法令用語が入るでしょうか? 全問正解者には、抽選で、2名様にハワイ旅行をプレゼントします(嘘です(笑))。

●民法

(遺言書の検認)

第1004条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、(①)、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。・・・

(遺言執行者の任務の開始)

第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、(②)その任務を行わなければならない。

 遺言執行者は、その任務を開始したときは、(③)、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

行政手続法

(結果の公示等)

第43条 (第1項~3項は省略)

 命令等制定機関は、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないこととした場合には、その旨(別の命令等の案について改めて意見公募手続を実施しようとする場合にあっては、その旨を含む。)並びに第一項第一号及び第二号に掲げる事項を(④)公示しなければならない。

全問正解出来たでしょうか?(正解は、敢えて割愛させていただきます。)

私が行政書士試験の受験勉強として使用したテキストには、以下のように記載されていた。

遅滞なく」は、緊急度の度合いが弱いものとされ、正当な、または合理的な理由に基づく遅延は許される場合に使われる。「直ちに」は、最も緊急度が強いものとされ、一切の遅延が許されないという趣旨で用いられる。「速やかに」は、「直ちに」より緊急度が弱く、「遅滞なく」より緊急度が強いものとされている。というわけで、この3つの法令用語の差異が厳密に規定されているわけではなく、抽象的に説明されているにすぎず、モヤモヤが解消されない。私は、現在、産業廃棄物収集運搬業許可申請を主要業務として代行サービスを提供していますが、お客様にお見積りを提示して受任した時は、委任契約書を作成し、必ずお客様と面会し、委任契約を締結しています。その委任契約書の第3条の雛形(下記参照)として( ⑤ )に記載すべき用語を自分なりに配慮しています。( ⑤ )に「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」という法令用語を記載すると、いずれにせよ受任者である乙(行政書士)が、お客様である甲に対して、なんとなく着手金の振込日を強制しているようなイメージになりませんか? 甲(お客様)の立場だったら、契約書の雛形とは言え、少し上から目線の文言に感じませんか?

(着手金及び必要経費の取扱い)

第3条 甲は、本件業務の着手金として、合意された代行サービス料金(報酬及び法定手数料)の一部若しくは全額を、本件契約締結後( ⑤ )乙の指定する銀行口座に振込むこととする(振込手数料は甲負担)。

そこで、( ⑤ )には、(  営業日以内に)という文言を記載し、「営業日以内に」の前を敢えてブランクにしておき、『お客様のご都合の良い日数を手書きで結構ですので、ご記入下さい。』とお客様に振込日の裁量権を委ねると、さほど気分を害することなく概ね、「5」とか「7」とかの日数を記載していただけるのではないかと思う次第です。